11月19日 癌専門病院 泌尿器科外来

腎臓がん

泌尿器科医師の外来

以下、先生とのやり取りです。

録音を元になるべく先生の言ったことを忠実に再現しています。

麻酔科を今日受けてきましたか。(はい)

手術のご説明をしますね。

これ前にもお見せしましたね。(はい)

左の腎臓に2センチぐらいの腫瘍があります。

左の腎の一番下のところですね。

画像上は、腎臓の癌が疑わしいかなと思っているんですけれども、

だいたい3%~5%ぐらいで癌ではないことがあるんですね。

癌の場合は4センチ未満が一番早期の癌と言われているので、

ステージ1の初期の腎癌を疑っている。

治療の選択肢は、腎臓の腫瘍だけ取ってくる部分切除と、

腎臓自体取っちゃう方法と、手術できないような人には、

針刺して凍らせるような治療をやってたりもします。

基本的に手術できる場合は、

手術で取っちゃうというのが基本で、

腎臓ふたつあるんですけど、

当然機能を残せるのであれば残した方がいいので、

腎臓の部分切除というのを予定しています。

ロボット手術というのはですね、腹腔鏡手術の一種なんですね。

小さい傷で行う手術で、手術する時って患者さんは、

左側を上にして横になっているような、

横向きの状態で手術をします。

傷口は5か所くらい、こんな感じになるんです。

昔、お腹開けてた頃は、

ここをズバッと切ってたんですね。こんな感じで。

こういう違いがあります。

取っても残しても生存率とかは変わらないので、

残せるものは残した方がいいでしょうということです。

腎臓がこうなってて、

腫瘍が存在しているのがここらへんなんです。

腎臓は、太い動脈の腎動脈というのと、

静脈、腎静脈というのがあります。

腎臓自体、おしっこを作っている臓器なんですけど、

動脈からこう流れていって、つくられたやつが、

こう尿の通り道を流れていって、

そうじゃないやつはこうもどってくる。

腎臓の特徴は、血流が非常に多いんですね。

1.5リッターぐらい流れています。1分間に。

腫瘍を取ってくる場合は、ハサミでチョキチョキ切ってですね、

切った後、この欠損部分は糸で縫ってきてるんですね。

こうなってここをすっぽり、糸で縫ってきてるんですね、何針も。

それで閉鎖するっていうような手術なんですけども、

そのままやると、血がビュービュー出て、何も見えないので、

実際、手術で腫瘍を切ったり縫ったりするときは、

洗濯ばさみみたいなので、腎動脈の血流を遮断してるんですね。

血流を遮断することを、阻血というふうに呼んでいますけれども、

腎臓の機能が悪くなっていっちゃうんで、

切って、縫ってっていうのをなるべく、

30分ぐらいまでに抑える必要があるので、

そこらへんが大変な操作になってきます。

お腹を開ける手術と、中でやってることはいっしょなんですけど、

傷が小さいというのが一番のメリットです。

術後の回復が早いというのもあります。

なかなか、縫ったり切ったりするのが大変な場合ですとか、

血が止まらない場合には、お腹開けたりとか、

腎臓を取る方法に切り替えざるを得ない可能性っていうのは、

少ないんですけど、一応あるということはご承知ください。

手術の方法なんですけども、手術中、

最初にいきなり腎臓をやるんじゃなくて、

おしっこの出口から内視鏡を入れて、

管をおしっこの通り道にいれてるんですね。

細い2ミリぐらいの管を、ここら辺においておいて、

実際に手術中に腎臓を切るときに、

ここから色がついた青い水をビュービュー流してるんですね。

尿の通り道が例えば切れちゃったりすると、

そこから色が出てきて、わかるようにしてるんですね。

なので、最初に尿管にステントっていう管を入れて、

それから横向きの体制になって、手術するって感じです。

傷が5か所ぐらいですね。

だいたい1、2センチぐらいの傷、こうやって作って、

腹腔鏡の操作をして、ロボットの操作をする。

流れは、先ほど申し上げたように、

腎臓の動脈を遮断して、腫瘍を切除して、

止血して、縫ってきて、出血がないことを確認して、

腫瘍を取り出して、傷口は縫って、それで終わりになります。

術後はですね、

どっかの傷から1か所1本ぴょこっと管が出てます。

ドレンっていう管で、手術したところは、

細かい出血とかリンパ液とか尿が出たりするので、

こういうのを出してあげる管が入ってます。

傷口は、抜糸がいらないかたちで縫ってきてます。

術後の経過としてはですね、

翌日からお水が飲めるのと、食事は2日目からとなります。

この手術、とくに出血が怖いので、

2日目まではベッドの上で過ごしてもらって、

それから歩いてもらってます。

歩いてトイレに行けるようになると、おしっこの管が抜けます。

手術して、3日、4日目ぐらいで、このお腹の管を抜いてます。

抜いた後は、シャワーが入れます。

順調な経過だと、術後、だいたい1週間ぐらいで退院になります。

術後2か月間は、出血しやすい時期なので、

激しい運動とか、お酒飲んだりとか、

1か月間は控えてもらってます。

退院したあとは、だいたい3~6か月に1回、

CT撮って再発がないかどうかチェックしています。

腎臓はけっこう遅れて出てくる場合もあるので、

病院で経過を見るのが5年ぐらいまで、

そのあとは、健康診断とかで、お腹の超音波とか、

胸の写真とかで、チェックしてもらうようにしています。

手術の合併症についてなんですけども、

出血がいちばん怖いもので、

術後1か月間、起こりやすい時期です。

ひどい血尿が出たりするのと、腰が痛くなったりします。

そういった時は、退院した後でも、

病院に来ていただく必要があります。

あと、尿ろうっていうのがあって、おしっこが漏れるんですね。

これは、腫瘍が尿路に近くて、尿の通り道がきれちゃった場合、

おしっこが漏れることがあって、その場合、ドレンっていう管が、

長期間入ったりですとか、入院が長くなったりする可能性があります。

いちばんひどいときは、もう一回手術したりとか、

最終的に腎臓を取ったりしなきゃいけないことが、

まれにあると言われています。

あとは、周りの臓器を損傷する可能性です。

左の腎臓だと腹部大動脈っていう非常に太い血管があるので、

そこに傷がついちゃうと結構大量出血するので、

それはもうお腹を開けなければいけないことがあります。

あと、感染症、100人にひとりぐらいですけど、

肺炎とか、尿路感染症、

術後、高い熱が続くことがあるので、抗生物質を使います。

あと、傷口の脱腸ですね。ヘルニアっていうのがあって、

手術が終わった後、けっこう太る人が多くて、太ったりすると、

ここから腸がポコッと、とびでてきたりするので、

術後あまり太らないように注意していただく必要があります。

あと、肺塞栓、脳梗塞、心筋梗塞って怖い病気があって、

これは日常生活で起きる可能性もあるんですけども、

手術室とかで麻酔をかけたり、手術したりすると、

手術後、少しリスクが若干高くなりますという程度のものです。

あとは、注意事項としては、

残した正常の腎臓に腫瘍が再発する可能性が、

2%ぐらいと言われています。

この場合は、また取るかどうかですね、

腎臓を取っちゃうこともあります。

あとは、腎臓を残しても、100%機能が残るかというと、

ちょっとそれは多少機能がさがるんですよ。

完全に戻る人もいますけど、少なくとも、

腫瘍で取った分は、腎臓は少なくなるのと、

血流を遮断した影響は多少でるかと思います。

一応、手術の説明はだいたい以上のような感じなんですけど、

確認しておきたいこととか、

何かわかりにくいところはいかがですか。

(よくわかりました)

大丈夫ですか。(はい)

手術当日、ご家族は誰かいらっしゃいますか。(来ると思います)

同意書に署名

生年月日確認

資料を受け取る

輸血の同意書(万が一のために)

今まで輸血したことはありますか。(ないです)

輸血で問題になるのが、感染症っていうのがあってですね、

よく知られているのが、B型肝炎、C型肝炎、HIVとかですね。

いちばんリスクが高いのが、C型肝炎で、

だいたい5千から1万回に1回未満といわれています。

B型肝炎とかHIVは、何十万回に1回未満ですね。

C型肝炎は、今は特効薬があって治る病気にはなってはいるんですけれども、

どうしてもこういう感染症のリスクは0にはならないんですよね。

なので、危険性があるので、安易に使うことはないんですけど、

血が出て、血圧が下がって来ちゃうような場合は、

使わせていただくことがありますね。

輸血の同意書に署名

なんか確認しておくこととかありませんか。(大丈夫です)

今日、同じ説明を4回しているので、だれにどこまで説明しているのか

わからなくなります。(笑)

手術前後、1か月間、予防接種しないように(はい)

それぐらいですね もう済ませましたか。(いいえ)

麻酔をかけられなくなるので。(やめておきます)

わかりました。今日はこれで終わりになります。あとは入院ですかね。

(日程は変わらないですか)

8日です。7日入院です。時間は電話がありますので。

(わかりました)

あとは、風邪をひかないように。太らないように。

よろしくお願いします。

腎臓がん
スポンサーリンク
シェアする
kanameをフォローする